パワハラ対策(3) 周囲の支え

パワハラ上司に立ち向かうために、自分の周囲にいる人間の支えで乗り切るという方法が考えられる。
周囲の人間とは、配偶者、恋人、親、兄弟、友人、同僚、あるいは医師やカウンセラーなど、自分の味方になって応援してくれる人を指す。

だが、経験上、「周囲の支え」は、ある程度は確かに役に立つのだが、完全にこれだけで解決に至るとは思わない。

まず、パワハラ上司がいる職場、あるいはパワハラ上司から怒鳴られたり叱責されている場面においては、一人であることが多い。
そのパワハラの場面にいつも自分の味方がいて、パワハラ上司に対してやり返したりして自分を守ってくれるわけではない。

怒鳴られているときは、一人で耐えなければならない。
理不尽な要求をされているときも、一人で黙々とその要求に応じる努力をしなければならない。

だから、結局のところ、周囲の支えで、パワハラそれ自体が軽減されたり消滅したりする訳ではない。
やはり、嫌いな上司は厳然としてそこに存在し続けるのだ。

もちろん、そういうつらい自分の心のうちを打ち明けることができる人間がいることは、大きな助けになることは確かである。
相談したり、愚痴をはいたり、一緒にその上司の悪口を言ったりして、気持ちを理解してもらったり、共有することは、大きな心の支えになる。

だが、心が許せる人間だからといって、無制限にパワハラの話を理解してくれる訳ではない。
言い過ぎると、「いい加減にしてよ」とうんざりされたり、「自分にも原因があるんじゃない?」と批判めいたことを言われることもある。

そうすると、心を開いて相談したことが、かえって恨みになってしまうことがある。
こんな人に話さなければよかったなどと思ったり、かえって余計に傷ついてしまうことがある。

結局のところ、パワハラは経験した人じゃなければなかなか分からない苦しみである。
自分では一生懸命に仕事の成果を上げようと努力し、上司の期待に応えようと努力してきたのだ。

そうやって、何週間も、何か月も、あるいは何年間も忍耐して、いつか認めてくれる日が来るはず、いつか努力が報われる日が来るはず、と希望を捨てずに頑張ってきたはずなのだ。
それでもなお、上司から否定され、冷たくされ、怒鳴られ、理解されない。

だからこそ、つらいのだ。
だからこそ、絶望的になるのだ。

努力してそれが報われ、上司にも認められ、会社でも居場所があって、周囲との関係もよかったり、あるいは自分の存在感や仕事の意義を感じられている人にとっては、それはなかなか理解できない。

努力すれば報われる、忍耐すれば報われる、成果を上げれば認められる…
そういう伝統的な「日本人の美学」が崩壊しているのが、パワハラの現場なのだ。

だから、それを理解できない人は、そういう崩壊した「日本人の美学」を押し付けてくる。
そして、パワハラの被害者に責任がある、と冷酷で残酷な言葉を口にしてしまうのである。
特にネットの相談欄にはそういう声が溢れている。

私の体験では、信頼できるはずの家族や親友ですら、そのようなパワハラ被害者をかえって傷つける言葉を口にしてしまうことがある。
そのときのショック、孤独感は、まるで世の中に行き場所を失ってしまったかのような絶望的な感覚である。

だけど、そういう究極の孤独に陥ってしまったとしても、決して自分の人生を放棄することだけはしないでほしいと思う。
発作的に、死んでしまいたいと思うかもしれないが、決してそれは実行に移さないでほしいと思う。

たとえ、退職に追いやられたとしても、失業したとしても、精神的な病にかかってしまったとしても、あるいは自殺未遂をしてしまったとしても、その他、どんな悲惨なことになったとしてもである。
おそらくこの広い世間を見渡せば、自分と同じ体験かそれ以上の悲惨な体験をして、それを乗り越えた人は必ずどこかにいるはずだからである。

生きていれば、必ず、どんな最悪な状況も、好転してくる時が来るはずだからだ。
そのきっかけ、その助けは、友人から来るかもしれないし、ネットや本の情報から来るかもしれないし、自分自身の新しい気付きや悟りから来るかもしれない。

もちろん、そうなるには時間がかかるかもしれない。
それまでにいろいろなものを失ったり、傷ついたりするようなことがあるかもしれない。

でも、必ず、この世の中には、自分のことを理解してくれる人がいるはずだと信じてほしい。
そして、悲惨な状況からの脱出の糸口を与えてくれる人がいると信じてほしい。

私がこのブログを立ち上げたのは、そういうパワハラの苦しみの中で、究極の「孤独」の中にいる人に、少しでも希望を与えたいと思ったからだ。
自分の体験を語ることで、そこからパワハラに立ち向かうためのヒントが得てもらえればと思ったからだ。

インターネットが普及する前ならば、こういう「パワハラに悩む人たち」が、横のつながりを持ったり、体験や対策法を共有するということはかなり難しかっただろう。
(パワハラという言葉はインターネット時代に入って登場してきたものではあるが…)
せいぜい、公共の相談窓口、精神科医、弁護士、労働組合、新聞の投稿欄、テレビ、本や雑誌、あるいは何らかの集まりといった手段を通して、断片的で限定的な加工された情報を共有するのが精一杯だっただろう。

でも、今は、日本全国に散らばっている深刻な悩みを抱えた人たちが、携帯電話やパソコンの画面を通して、いつでも、どこでもダイレクトにつながることができる。
文字だけではなく、音声やビデオを通してつながりを持つこともできる。
ほぼリアルタイムに情報や知識を交換し、気持ちを共有することができる。

これが、私たちの最大の武器であるはずである。
これが、私たちの最大の「周囲の支え」になり得るはずである。

だから、パワハラには泣き寝入りしない、という気持ちを持って頑張ってほしいと思う。
希望を捨てない限り、必ず解決する時が来るはず、と信じながら。

コメント

  1. miyabi27 より:

    1. そうですよね
    パワハラは経験した人にしか本当の気持ちは分かりませんよね。いつか努力が報われるとまだ信じてる自分がいます(´・_・`)。
    http://ameblo.jp/miyabi27xmas/

  2. パワハラに負けない より:

    2. Re:そうですよね
    >miyabi27さん
    コメントありがとうございます。
    努力は大切なのですが,パワハラ上司はどんなに努力しても決して満足しないですからね。
    人の気持ちを理解する力が不足している人がパワハラをしやすいと思います。
    負けずに頑張りたいですね。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  3. オレンジ より:

    3. 無題
    いつも見させて頂いてます。続きが楽しみです。
    私もパワハラにあい、仕事をしていないと嘘を並べられて解雇されました。
    仕事の履歴の証拠もあるのですが泣き寝入りしました。
    今でも辛くてどうにかできないかとふさぎ込む毎日です。

  4. パワハラに負けない より:

    4. Re:無題
    >オレンジさん
    コメントありがとうございます。
    解雇はひどいですね。
    会社って,やろうと思えばいくらでも嘘を並べて従業員のせいにできるので,本当に理不尽ですよね。
    傷はなかなか癒されないのでつらいことと思いますが,一日でも早く,自分が取り戻せるように,応援したいです。
    もしよかったら,アメーバのメッセージ機能で連絡頂ければと思います。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  5. nekoze8 より:

    5. なみだが
    止まりません。最初の日記から読ませて頂いてます。私はお前の存在価値はない、お前の事はみんな言動がおかしいといっている、お前の努力は全て下らない、毎日毎日決して名前でよばれず おめーおめーといわれつづけ、、今日会社を休んでます。
     とても励ましになります。死ぬ訳にはいかないから・・・。
    http://ameblo.jp/nekoze8/

  6. パワハラに負けない より:

    6. Re:なみだが
    >nekoze8さん
    人を人扱いしないひどいパワハラ上司ですね。
    こういう上司の下にいると本当に苦しいことと思います。
    どうか負けずに頑張れますように。
    どうしても辛い時は逃げる勇気も必要です。
    どうか一緒に頑張りましょう。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  7. あけみ より:

    7. 励まされました
    24歳女です。従業員12名程の、小さな会社に勤めて4年目になります。規模が小さいため、直属の上司が社長にあたるのですが、言葉の暴力が毎日絶えません。何か報告する度、社会人失格だの、人間として最低だの、罵倒されます。ミスをした場合、何時間も怒鳴られ、精神もやられそうです。来週あたり退職届を提出しようと思ってましたが、こちらのブログをみて、すこし思いとどまりました。退職届を叩きつけてやるか、見返してやるよう踏ん張ってみるか、もう少し考えてみます。
    こんなブログに出会えたことに、感謝です。

  8. パワハラに負けない より:

    8. Re:励まされました
    >あけみさん
    ひどいパワハラ社長ですね。
    許せないです。
    まず、携帯で暴言を録音しましょう。
    すべては、証拠の確保が重要です。
    辞める前に、最大限の賠償金を払わせたいです。
    インターネットユニオンとかの外部のの力を借りれば、馬鹿にされないことでしょう。
    甘く見てきているので、自己都合退職に追い込まれて、泣き寝入りに追い込もうと考えているかもしれません。
    本当につらくてたまらないことと思います。
    どうか、希望を捨てずに頑張りましょう。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  9. KK より:

    9. 勇気をもらいました。
    初めまして。ブログを読ませていただいております。難しい状況におられながらもいつも戦っていらっしゃるパワハラに負けないさんの姿勢に感銘を受けました。

  10. パワハラに負けない より:

    10. Re:勇気をもらいました。
    >KKさん
    パワハラとの戦いは、何か月、何年も続くことがありますが、解決の糸口は必ず見つかるはずです。
    そう信じて、希望を捨てずに頑張りましょう。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

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