社内の権力を盾にした弱い者いじめ。
これは現実に起こります。
悲しいけど、いじめは子供世界だけの話ではないのです。
いじめている側の加害意識は低いかもしれませんが、いじめられているほうにとっては深刻な被害になりえます。
いったん人間関係がこじれると、上司はここまでかって言うくらい豹変しえることを、身をもって感じました。
私が退社に至るまであと2か月の時点の話です。
—
(前回
の続き)
怒鳴り声を張り上げない代わりに、「指導を装った冷酷ないじめ」をはじめた上司。
このチビで、禿で、バブル時代の自慢話しかしない定年間近のオヤジ上司は、世界で一番いやな奴になった。
私と親しくしていた同僚が、昼休みに一緒に食べに行ったとき、ある話をこっそり教えてくれた。
私が出社拒否に陥って1週間目のことだという。
めったに私たちの部屋に姿を見せない社長が突然入ってきて、
「ちょっと大石君、私の部屋に来てくれるかね?」
と課長を呼び出したという。
おそらく、私の出社拒否について社長直々に聞き取り調査を行ったのだろう。
これは、課長にとっては、査定的に大きなマイナスであることは明らかだ。
彼は、怒鳴らないように社長から言われたのかもしれない。
私はその後、彼の怒鳴り声を耳にすることは二度となかった。
いつもなら怒鳴りつけるような場面になっても、彼は口を十文字に結んで、必死にこらえている様子だった。
相当に厳しい指導が社長から入ったのではないかと推測した。
だがその代わり、まるで機械人間のように無表情な顔を浮かべながら、鋭い目で私をにらみつけるようになった。
まるで、私を鋭い刃物で切るかのように、冷酷な論理で容赦なく、皆の前で私の仕事内容を批判するようになった。
課長は、社長の「指導」が入ったことの腹いせを、弱い立場の人間である私に対して向けてきたのだと思った。
地位を利用した陰湿ないじめ。
まさしく、怒鳴り声に続く、第2のパワハラが始まっていた。
だが、私には何らの対抗手段も、抗議手段もなかった。
そして、私の精神は、次第に追い詰められていくこととなった。
(続く)
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