ついに始まった労働審判

前回の記事では、私がPIPによる退職強要に対する損害賠償を求める労働審判を弁護士を付けずに起こしたところ、会社側は2人の弁護士を立てて戦いを挑んできたことを書かせて頂いた。

今回は、実際の裁判の経緯を書いてみたいと思う。

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会社側から届いた答弁書

私が出した訴状に対し、会社側から届いた答弁書の写しは、証拠のページ数も含めると、なんと250ページにも渡る長大なものであった。

私の訴状の実に10倍の分量である。

そこに書かれていたのは、私に対する徹底的な能力否定の言葉だった。

私の履歴書や経歴書が証拠資料として添付されていた他、ディレクター、マネージャー、同僚の社員数人にインタビューした内容の他、私のことをよく知らないはずの社長や副社長のインタビューの内容までが掲載されており、その内容は私の能力否定で一貫していた

その内容は、

「安達さんは、非常に能力が低く、与えられたタスクを同僚の3倍以上の時間を掛けてしか完成させられず、しかも成果物の品質も低くて使い物にならない」

という記述で一貫していた。

おそらく、弁護士がテンプレートを用意して、それに各々が肉付けして作成したのであろう。

しかも、社長や副社長は私と挨拶の言葉を交わしたことしかない人達で、私のことをそんなに詳細に語れるほどの接点はないはずであった。

私は、毎年の評価でも平均以上のスコアを付けられ、入社以来4年間もきちんと成果を出してきたのであるが、ある日、会議でディレクターの方針を批判するような言葉をうっかり口にしてしまったため、その日から非常に冷たい仕打ちを受けるようになったのである。

しかし、これは、PIPという退職強要行為を隠蔽するための、論点のすり替え以外の何物でもなかった。

だが、正直言って、ここまで自分の能力を徹底的に否定する内容を十数人から集めた陳述書を読む機会は、人生のうちにそうそうないのではないだろうか。

私は、名の知られた政治家でも犯罪者でもなく、一般のただのサラリーマンである。

おそらく、これは会社相手に裁判を起こした人でなければ、決して経験することのできない出来事だろう。

もちろん、私は相当にショックを受け、力を失った。

ああ、もうダメだ」と。

1人ぼっちで弁論をしなければいけなかった第1回期日

答弁書が届いてから1週間後、それは正月を過ぎたある寒い日の午後だった。

私は第1回の期日(審理)に出席するために、東京地方裁判所を訪れた。

私は、妻と2人でやって来た。

しかし、裁判官は私のところに来ると、こう言った。

「法廷内に入れるのは、本人ただ一人のみです」

私の孤独感と不安は極限に達した。

そして、私一人が入廷すると、会社側の人間が入ってきたのだが、なんとその人数は10人!であった。

弁護士2人、社長、副社長、ディレクター、マネージャー、人事部部長、その他社員3人を合わせて、なんと10人である。

対する私は、ただ一人であった。

弁護士も付けていない私なのに、付き添いで来てくれた妻の入廷も許されなかった。

一番立場が弱いはずの労働者が1人で、会社側は10人って、こんなことが労働審判では許されるのか、こんなことがあり得るのか、と私は驚きに驚いた。

試されているようなそういう気がした。

(続く)

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