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)
事件はまさに私が帰ろうとして、誰もいなくなったオフィスの鍵を閉めようとしたときにおきた。
鍵は、私をさんざん罵ってきたあの上司の机の前にあった。
私はその日に限り、その上司の机を見た瞬間、蹴りが飛んでいた。
その上司の机の横を思いっきり蹴飛ばした。
ガン、ガン、ガン。
その音は、しーんとした深夜の室内に響き渡った。
私は、自分でも感情の噴出が抑えられなくなったのを感じた。
「憎い…」
私はその気持ちに完全に支配されてしまった。
私は、上司の椅子も思いっきりぶん殴った。
何回殴ったかは記憶がない。
気が付くと、こぶしに血が滲んでいた。
私は、これ以上、エスカレートしてしまう自分が怖くなった。
だから、必死の思いで、自分の感情を殺し、オフィスの鍵を閉め、セコムの警戒をセットすると、足早に立ち去った。
だが、会社を出る直前、私は深夜の玄関ホールで、大声で叫んだ。
「大石のバカヤロー、テメーなんて、死んでしまえ!!!」
何回叫んだか知らない。
すぐ隣のオフィスはまだ電気がついていた。
だから、残っていた誰かがきっとこの叫び声を聞いたと思う。
だが、私はもう、恥も外聞もなかった。
そんなことはどうでもよかった。
私は足早に会社を後にすると、駅へと向かった。
(続く)
コメント
1. ポケポケです
ある日上司が帰ったあと思いきり机をぶん殴りました。
なんで自分がこんなこと。
ショックでたまりませんでした。
あまりの音に同僚がどうしたと飛んで来ました^^;
http://ameblo.jp/kisekihaokorukamo/
2. Re:ポケポケです
>ポケポケさん
同じようなことを経験されたのですね。
思い出すと本当につらい話ですよね。
http://ameblo.jp/anti-pawahara/