パワハラ対策(1) 成果改善

パワハラに悩んで誰かに相談した場合、一般的に言われやすいのが、

「成果をきちんと出すようにすれば、文句言われなくなるんじゃない?」

という言葉だろう。
だが、この言葉は、時に残虐なほど、パワハラの被害者を追い詰める言葉になり得る。

パワハラの原因はさまざまにある。
もちろん、期待されている成果を十分に出せていないこともその原因の一つとなり得る。

それは、上司からのパワハラ発言

「おい、お前、ちゃんとやれ!」

という言葉につながる。

だが、給料をもらっていて、しかも、それが自分や家族の生活の唯一の糧であるような場合、仕事に対して怠けるような人間は基本的にはいない。

むしろ、本人も、一生懸命やっているのに、上司がそれ以上を常に要求してくるのだ。
だから、追い立てられるようにして、毎日夜遅くまで残業していたり、土日も出社してカバーしているなどのケースは多い。
パワハラの被害者は、むしろ周りの人より真面目で、業務に真剣かつ熱心に取り組んでいる場合が多い。

それでも怒鳴られるから理不尽なのである。

成果を改善することに対して努力を惜しむなとは言っていない。
だが、自分で自分を激しい労働に追い込むようなことは、ある意味、危険でもある。

自分を追い込みすぎると、精神的に余裕がなくなってきて、肉体的にも疲労がたまり、ストレスに次第に弱くなっていく。
中には、うつ病を発症するきっかけになったり、ひどい場合には、過労死、あるいは突然の自殺という最悪の結果につながるリスクもある。
これは、脅しではなく、私自身、あるいは私の身の回りで実際に見聞きしていることだ。

特に、自分では120%、あるいは150%と努力して、死ぬ気になって出した成果に対して、

「お前、これは何だ!こんな程度しかできないのか!」

とパワハラ上司から批判されると、そのショックは、もうこの世の中に行き場がないほどの苦しみとなる。
発作的に自殺をしたくなるほどのショックを受けることすらある。
だから、危険なのである。

では、どうしたらいいのか。
個別の状況に応じて対応方法は異なるかもしれない。
だが、一般的な対策を言えば、100%、120%までの努力を注ぎ込むことはあっても、自分の命を懸けて、150%などという投入はしないほうがいいと思う。

パワハラ上司は、成果を出しても、決してその成果追求の手綱を緩めるということはないからだ。
パワハラ上司は、部下の成果に対して満足するなどということはあり得ない、とまで悲観的に考えていたほうがいい。

成果を挙げれば、きっといい待遇に変わるはず、という「楽観的な期待」、「明日への希望」を持って、つい150%の努力などをしてしまいがちだが、そこにあるリスクはよく認識していたほうがいい。

そして、家族や知人など信頼できる人に、自分の苦しみをちゃんと伝え、心の中のストレスを発散できる環境を確保することだ。
自分の会社の同僚は、いつ寝返るか分からないので、あまり本音を話すことはお勧めしないが、他社の友人などと一緒に食事や飲みに行って、そこで上司の悪口を言うことも、一つのストレス発散方法だ。

周りの方は、本人に時々、上司の悪口を吐き出させて、一緒に共感してあげるような雰囲気作りに努めてあげて欲しいと思う。
その際には、本人を励ますことはあっても、批判をしないほうがいいと思う。

本人は味方がほしいのであり、自分の側に立って一緒に戦ってくれる人がほしいのである。
家族や知人から、当該の上司のような言葉で自分を批判されることに対しては、きわめて過敏に反応し、傷つき、反発し、恨みや怒りの気持ちすら沸いてしまうことがあるからだ。
そうなってしまうと、二度と心を開いてくれなくなることすらある。

まるで小さな子供を励ますかのように、辛抱強く、愚痴を聞いてあげ、受け止め、共感し、100%味方の立場に立って励ましてあげてほしい。
私なんかは、パワハラの被害で苦しんでいる親友の愚痴を、毎日1時間ずつ、約1年間にわたってひたすら聞き続け、励ましてあげたことすらある。

そうやって、信頼できる「吐け口」を確保した上で戦っていけば、必ず、そのパワハラを乗り越えることのできる道がいつかは開かれるはずだ。
そういう希望を捨てないでほしい。

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