知人のパワハラ体験 あるシステム開発会社

その知人は、九州の専門学校卒業という経歴ながら、社会に出てからは頭角を現し、数多くのプロジェクトのリーダーをこなすようになった。
年収も30歳になる頃には、大卒などと肩を並べ700万円台に達しており、成功者の部類に入っていた。

しかし、人生の危機は突然訪れた。
彼が35歳で入った4番目の転職先でのことだった。

その会社のプロジェクトは、発注元のお客様の無理な要求に応じて、ひどく安い単価で大量の業務を引き受けていた。
彼は、入社後、そのチームのリーダーに配置されるや否や、今までの経験と知識を生かして現状分析を始めた。

「このままでは、部下たちが疲弊してしまう…」

当時、部下の5人のメンバーたちはそろって終電近くまで仕事を続けていた。
それでもなお、残りの作業が減らず、お客様の要求は厳しくなる一方だった。

彼は部長に直言した。

「お客様にはっきりと現実を伝えるべきです。
単価を上げてもらい、もっと外注を雇いましょう。」

だが、部長は首を縦に振らなかった。
彼は粘り強く機会あるごとに、客観的な資料を基に、メンバーの負荷を下げる方法を模索し、部長に提言した。

しかし、50を超えたその部長の頭は固かった。
ついに入社2ヶ月が経った頃、部長の雷は彼の上に落ちた。

「お前な、入ったばっかりでお金のことばかり口出しして、うるせーんだよ!
分をわきまえろ!
分を!」

彼はリーダー職を外された。
そして、ひどい量の仕事を部長から押し付けられるようになった。
もはや、彼が部長にいじめを受けているのは、部内の誰が見ても明らかであった。

ある日、彼は突然、会議室に呼ばれた。
そこには、部長と社長が座っていた。

一通りの「事情聴取」が終わった後、部長は冷たい表情を浮かべながら無機質な声でこう言い放った。

「あのね、君の首なんか、私の一存で、どうにでもできるんだよ。」

彼は、その種の脅し文句を聞くのは社会人生活で聞くのは初めてだった。

部長は毎日、彼を自分の机の横に立たせて、1時間近く説教するようになった。
頭の半分禿げ上がったその部長のねちねちとした責め立て声は、シーンとした部内に響き渡った。

まさしく、公開叱責であった。

彼は、ある日突然、出社しなくなった。
私が確認したところ、彼はうつ病を発症して、自宅の床から起き上がれない状態になってしまったようだった。

だが、彼は、私のアドバイスに従って、部長の説教をひそかに録音していた。
この録音テープがあれば、パワハラを立証できる可能性は高い、と弁護士は言ってくれたそうである。

もしパワハラに悩んでいる人がいるならば,市役所などでは無料の法律相談会を開くことがあるので,ぜひそういう場を活用してほしい。

まだうつ病の完治には至っていないが,快方には向かっている。
彼は、今,訴訟の可能性について模索している。

一方的にやられるだけであれば、この社会には希望がない。
我慢する忍耐強さも必要だが、不当な扱いには、勇気を持って対抗してほしいと思う。

パワハラに遭いやすいタイプの一つとして,正義感が強かったり,自分なりの理想なり信念なりを抱えていたりする人がいる。
また,根が善良な人間もパワハラに遭いやすい。

これは,パワハラを受ける本人が悪いのではないと,私は思う。
お金を稼ぐことしか念頭にない,会社や上司の考えが腐っているのである。

彼が実際に裁判に踏み切るかは未定だ。
だが,絶対に泣き寝入りだけはしないでほしいと思っている。

コメント

  1. miyabi27 より:

    1. 証拠は
    やっぱり必要ですね。私も、声を荒げて怒られた時の音声、全部録音しとけば良かった。今は完全に無視されてるので、録音のしようがないです(。-_-。)。

    曲がったことがキライ、自分の信念を持ってる人ほど損をしたり、痛い目に合う世の中って、理不尽ですよね。
    http://ameblo.jp/miyabi27xmas/

  2. パワハラに負けない より:

    2. Re:証拠は
    >miyabi27さん
    理不尽な世の中には、叩かれ続けるだけではなく、時には声を上げることが大切だなと思います。
    希望を持って頑張りましょう!
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  3. パワハラに負けない より:

    3. Re:証拠は
    >miyabi27さん
    パワハラの証明方法については、また別の記事で書こうと思います。
    私も、結局、上司の怒鳴り声は録音できませんでした…
    難しいですよね。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  4. やらせなのかな? より:

    4. やらせか?
    本気で言ってるのかな。
    大卒と肩を並べたと言っても
    同じ年台のその大卒で30歳は言いなりに近い。
    それを理解した上で戦わなければいけない。
    大卒で30歳はいくら優秀でも使い走りに毛が生えたくらいだ。
    そのことを理解した上で部下を守らなければいけない。
    とは誰も言わない。弁護士はもっと酷くて
    「最近の若い弁護士は司法制度改革のせいで質が低い」
    と散々名誉毀損丸出しの行為を繰り返しているが
    誰も懲戒なんかされない。

  5. パワハラに負けない より:

    5. Re:やらせか?
    >やらせなのかな?さん
    お立場はわかりませんが、理不尽な職場に苦労されているようですね。
    理不尽なところにパワハラが発生しやすいので、自分を守る為の闘いを忘れないようにしたいものです。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

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