最悪のレーティングが通知された日。
夕闇迫る時間になると、私はディレクターの部屋に呼び出された。
「まあ、そこに座って。」
彼は一週間前に私に転職活動を勧めた時とは違い、もっと怖い表情で私を見つめていた。
少し世間話っぽい話をした後、彼は単刀直入にこう切り出してきた。
本性を現したディレクター
「あの点数は何を意味するか分かるかな?」
私は、やや震える声で、答えた。
「はい。成果が上がるようにもっと努力したいと思います。」
だが、彼は首を横に振りながらこう言った。
「はっきり言うけど、あれは、まったくあなたがチームや会社に貢献していないことを示しているんだ。
それは、あなたのマネージャーもずっと伝えてきたことだよね?」
私は、この2年間、毎週のマネージャーとの面談で、極めて強い調子で叱られ、否定され続けてきたことを思い返していた。
本当にあれは、くじけそうになりそうな毎日だった…
そのような苦しみの日々の記憶が、走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
否定に次ぐ否定
ディレクターは、そんな私の気持ちなど微塵も考慮に入れようとはしない感じで、次々と私を追い詰める言葉を吐いた。
「マネージャーは、あなたのことを特別に考え、誰よりも親切に指導をしてきたんだ。
それでもあなたは成果を出せなかった。
いや、出さなかったんだ!」
彼は、私の必死の忍耐と努力を頭から否定するような言葉を次々と浴びせかけた。
まるで、私がわざと怠けているかと言わんばかりのひどい表現だった。
それは、マネージャーから面談の度に浴びせられた2時間の説教の内容との類似まで感じられる内容だった。
私は、心の中でこう思った。
「やはり、マネージャーの背後にはこのディレクターのこの高圧的な態度があったのか。
やはり、こいつが黒幕だったのか。」
ついに出たその言葉
そのような一方的な否定が、5分くらい続いた頃だろうか。
彼はこう切り出した。
「それで、もう、私たちは重大な決断をしなければいけないと判断したんだ。」
それは口答えを許さないぞという雰囲気が込められた、そんな感じの言葉だった。
「あなたに3か月の猶予を与えるから、新しい職を探してくれないかな?
転職支援サービスも付けて、全力でサポートするから。」
私が混乱して頭がぼーっとする中で、彼はさらにこう続けた。
「いきなりそんなこと言われても混乱するでしょうから、ぜひ、週末、ゆっくりと考えてきてください。」
こうして、約15分間の面談から私は解放された。
窓の外には、すでに夕闇が迫っており、煌々と輝く新宿の高層ビル群の灯りが眼下に広がっていた。
外資系企業の正社員切りの現実
そうこれが、華やかで高給取りのイメージがある、一流の外資系企業の現場で行われている、容赦なき正社員切りであった。
そしてそのような面談は、週末に観念をさせるために、金曜日の夜に行われるという都市伝説もまた本当であった。
私は、暗黒の世界に押し出されたような気分で、ふらふらと歩きながら自席に戻った。
私は何も仕事が手につかなくなり、そして、真夜中まで席を動くことができなかった。
だが、既に前職で死ぬほどのいじめを受けてきた私は、こんな状況でも、録音をすることは決して忘れていなかった。
その15分のテープは、彼らが否定しようとも否定することのできない、苛酷なPIPの始まりの退職勧奨として、裁判の証拠に永遠に記録されることとなった。
(続く)
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