毎日夜11時まで残業

1時間半の公開叱責があった翌日、私は、相当に葛藤を感じながら会社に向かった。
朝起きるのが辛く、会社に向かう足取りも異常な程重たかった。

それから数日間、私はかなりハイテンションに仕事をこなすモードに入った。
それまでは、朝9時から夜8時頃までの約10時間労働が多かった。

しかし、その怒鳴られた日を境に夜は基本11時退社となった。
1日13時間労働、月に直せば260時間というペースの過酷な労働であった。

厚労省のガイドラインによれば、月80時間の残業が2か月、あるいは月100時間の残業が1か月続けば、過労死認定される基準となるようだ。
この時の私は、明らかに過労死基準に達する労働をこなしていたことになる。

しかし、このようなハイテンション労働は決して長くは続かない。
しかも、上司の怒鳴り声が怖いという一心からこのような状態に陥ったのである。

これは精神衛生上も良いはずがなかった。
実際、私は夜11時に退社した後、ラーメン屋さんで大盛りラーメンと餃子、ビールを腹一杯飲み食いして、ストレスを解消するなどの行動を起こすようになっていた。

それでも苦しい場合は、家までまっすぐに帰らずに、夜の街を歩き回って飲み食いしながら、憂さ晴らしをするようにすらなっていた。
自分でも、こんな状態が長くは続かないだろうなと薄々感じてはいたが、もう、そうする以外に、気持ちのやりどころがなかった。

決して家族を責める訳ではないが、家に帰っても、会社の不満を素直に話しずらい状況だった。
まだ転職して1か月位にしかなっていないのに、辛いとか、苦しいとか、辞めたいとか、そういう話を口にすることはできなかった。

しかも、30代後半で前職より大幅な給与アップで入った会社である。
それに不満を言えば、この年で職があるだけでもありがたいだろう、文句を言うなんて自分勝手だ、と世間からも批難されるであろう立場だった。

妻は、遅くまでお疲れ様、と励ましてはくれる。
そして、上司のきつい言葉に対しても、もっともっと頑張ればきっと認めてくれるはず、とそのように言ってきた。

だが、一体、何をどう頑張ればいいのか、私には本当に分からなかった。
どんなに頑張っても、上司からは常に、否定、否定の連続だったからだ。

疲れは確実に心と体に蓄積していった。
疲れだけではなく、上司への恐怖と不安も、確実に私の心の中に蓄積していった。

そうやって、1週間ほど仕事をしていた頃、突然、上司から言われた。

「来週さ、台湾で学会があるんだけど、一緒に行ってくれるかな?」

これだけ聞くと、入社2か月目で海外出張か、と人は羨ましいと思うかもしれない。
私も、突然の話に、自分の一生懸命さが認められたんだ、と天にも昇るような気持ちに一瞬なったことは、否定しない。

だが、出張の実態は過酷なものであった。
社長の秘書(50代女性)が旅行の手配をしてくれたのだが、彼女は日程表を私に示しながら当然のような口調でこう言った。

「あ、それと、経費の削減のため、基本的に鈴木さん(上司の名前)とは相部屋になります。
これは会社の方針ですので、変更はできません。」

私は一瞬、目が点になった。

日程は、来週の金曜日の朝に成田空港を出発し、次の週の火曜日の午後に帰国するというものだった。
この4泊5日の間、ずっとこのパワハラ上司と同じ部屋で過ごさなければならない…

これは考えるだけでも恐ろしいことであった。
会社で会うだけでも嫌な存在なのに、全く見知らぬ海外の地で、24時間、この上司と寝起きや公私を共にしなければならないのだ。

しかも上司は、週末も関係なく24時間ずっと仕事ばかりする、仕事中毒の鬼上司である。
多分、週末も仕事、夜も仕事、寝るときも仕事で、安心して寝られない。

もはや、海外出張は喜びや期待などではなく、新たな恐怖の種になっていた。
それは、出発の金曜日が近づくにつれて、どんどんと私を底なしの恐怖へ追いやっていった。

(続く)

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コメント

  1. 雷電 より:

    1. 10年前の自分
    こんばんは。

    10年ぐらい前の自分が記事主様と同じ状態でした・・・あの時は自殺も考えましたね。

    やって良いのなら、あの時の上司を半殺しにしたいです(-"-;)
    http://ameblo.jp/aaa-7waz/

  2. きっと明日は晴れ より:

    2. 逃げ場の無い状況
    逃げ場の無い状況は
    本当に大変ですよね。

    消える事の無い
    疲労やストレスがどんどん
    蓄積されていきます。

    相談も愚痴を言う事もできず
    「ちょっとまずいな」
    という思いもありながらの
    ストレス解消をするしかないという状況、
    本当に辛いですよね。
    http://ameblo.jp/sasaeaitai365/

  3. オレンジ より:

    3. 無題
    勝手に「今日の昼まで」ということにでっち上げて恐ろしい上司ですよね…
    私は嘘やでっち上げ攻撃が一番精神的にくるので気持ちわかります。
    パワハラに負けないさんは仕事を頑張りすぎてしまうタイプの方ですよね…
    http://ameblo.jp/orangeorange-orange/

  4. パワハラに負けない より:

    4. Re:10年前の自分
    >雷電さん
    ひどい扱いをしてきた上司に対する恨みって、なかなか消えないですよね。その苦しみ、本当によく分かります。
    過去のことは忘れて新しい人生を探すっていうのは一見、世間的には正しいように見える生き方なんですが、わたし的に見たら、泣き寝入りのような気がします。
    人権侵害をした本人には、やはり法的な復讐が必要なのではないかなと思う次第です。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  5. パワハラに負けない より:

    5. Re:逃げ場の無い状況
    >きっと明日は晴れさん
    労働者って、本当に弱い立場だなと思います。
    相手も、労働者が訴えてくるなんてことは想像もしていないから、横暴な態度を取りやすいのだろうと思います。
    私は、労働者は、不当な扱いを受けたら、いつでもあなたを訴える準備があります、という心構えを持って勤務すべきだろうなと思っています。
    労働者をいじめるとひどい目にあう、という共通認識を社会に浸透させていきたいなと思います。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  6. パワハラに負けない より:

    6. Re:無題
    >オレンジさん
    上司って、自分の思い込みで攻撃してくるときが、一番辛いですよね。
    私が何かを言うと、弁解するな、言い訳するなと頭から否定をしてきます。
    こういう上司って本当は害悪そのものだと思うんですが、会社内ではそれを制裁する手段なんてないんですよね。
    こういうやりたい放題の会社を改めさせたいと私は思います。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  7. 匿名 より:

    7. こちらのブログを読んで
    まさに数ヶ月前の自分と同じです。
    読みはじめて、自分のことについて記載されているのかと思う程でした。

    直属の上司から毎日のように公開叱咤を受け、夜11時過ぎまで仕事をし、帰りの電車の中でもノートPCを開き、最寄りの駅についたら、駅前のファミレスに入って夜中の2~3時まで仕事をしていました。
    上司からは『途中の経過を報告しろ』と言われたのでメールで報告をすると、『過程はどうでもよい。結果がすべてだ』と返答を受ける。上司がなにをしたいのかわからない。。
    上司は19時頃には帰宅。週一度はフレックス制を利用して早めに退社。。
    こちらは毎月220~240時間位勤務しているのに、『30代後半ならその程度は問題ないでしょ』と言い放つ。
    三連休のときには、連休明けに、『なぜ連休中にもっと仕事を進めなかったんだ』と非難される。
    当然、週末の手当など出ません。
    残業代は見込みとして給与に含まれており、22時以降に夜間手当が出るのですが、会社にいる間の手当しか出ないので、帰りの電車や週末の勤務分は支払われません。
    先月の夜間手当は4000円位でした。
    上司の叱咤に耐え、なんとか仕事を進めようと夜中も週末も仕事をし、そして私はストレス疾患となり、ドクターストップを受けました。
    そこまでして働いた勤務に対する追加の手当が4000円とは。。
    あまりの馬鹿馬鹿しさに、笑ってしまいました。
    人生でいまがドン底と信じ、これから這い上がるのみ、、、と信じます。

  8. パワハラに負けない より:

    8. Re:こちらのブログを読んで
    >匿名さん
    自宅近くのファミレスで明け方まで仕事とか、連休中にも仕事を要求してくるとは、完全に狂った上司ですね。
    労働基準法という法律を理解していないのでしょう。
    結果ばかり求めて残業を強いるのはマネージメントとしては失格ですね。
    こういう上司や会社には残業代請求でしっかりとお金を払わせる必要があります。
    100の抗議より、100万円の残業代支払いを労基署に命じられた方が、遥かに彼らは深刻に捉えます。
    パワハラといい加減な労務管理はセットで発生するの好例です。
    どうか、勇気を持って戦ってくださるように切望します。
    そうやって自分の尊厳を取り戻しましょう。
    どうかパワハラに負けて心まで心まで折れてしまわないようにと応援しています。
    苦しければいつでもメッセージ等くださいね。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

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