私が送った病欠の報告メール。
大石課長からは、何の返信もなかった。
何時間待っても、返信はなかった。
メールが着信すれば点滅するはずのランプは、その日いっぱい
決して光ることはなかった。
電話がかかってくるだろうかと思ったが、電話もなかった。
完全に、上司は沈黙を続けていた。
「きっとあの田口のやろう、大石課長に俺の悪口を
いっぱい言っているに違いない…」
そう何となく思ったが、会社で何が起こっているかを
確かめる術はなかった。
だが、普通の風邪の際に送った欠勤報告メールには
すぐに返事が来るはずなのに、その日に限っては何も
メールが来ないことは、明らかに何かが会社で起きている
ことを示唆して余りあるものがあった。
私は、家の中で居場所がなかった。
土日になれば、会社に行かなくてもいいことをあんなに
嬉しく思っていたのに、今日は会社に行けないことが、
とてもとてもつらかった。
まるで重大な犯罪を犯したとんでもない罪人のような気分だった。
家にいても、心は全然休まらなかった。
そうして、数時間が経過し、夕方となった。
私の心は、夕方になってようやく少しずつ楽になっていった。
「明日は、会社に行こう、必ず」
そう思えるようになったからだ。
今日のことは忘れて、明日は会社に行けばそれでいいじゃないか。
そう思うことで、私は前向きになれたような気がした。
(続く)
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