正社員信仰とパワハラ

パワハラ

パワハラで悩んでいる方は多い。
ブログ開設以来、私の元にも、多くの方からの相談メッセージが寄せられている。

なかには、パワハラで深刻な精神的打撃を受け、鬱や統合失調症を発症し、退職を余儀なくされたばかりか、会社に訴えても何もしてもらえず、ただただ家に引きこもって何年間も経ってしまった、というかなり深刻な状態にある方からの相談も寄せられた。

また、ニュースを見れば、警察官でも自衛官でも、名の知れた一流企業でもあるいは中小企業でも、そしてあろうことか労働局や労基署と言ったパワハラを取り締まる立場のお役所にあっても、パワハラが横行し、多くの人が病にかかり、あるいは自殺に追い込まれている現状が報道されている。

今年は、電通に勤めていた東大卒の女性が過重労働とパワハラが原因で自殺したことが話題になったが、あれは有名企業の優秀な一流大学出身の人だったからあそこまで社会的注目を浴びることになった。
しかし、あの1つの事件の背後には、報道すらされず涙を流して自殺していった数百倍、数千倍のパワハラ被害者がいることを忘れてはいけない。

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パワハラは日本の病

そう、パワハラとはまさしく、日本社会の病なのだ。
パワハラを克服できない限り、少子高齢化で下り坂を下る一方の日本という国の未来に明るい希望の光がさすことはない。

さて、ようやく今回の記事の本題に入るが、パワハラと正社員と地位には、何らの関係もないだろうか?
もっと踏み込んだ表現をすれば、日本における正社員信仰の強さが、パワハラを生み出す温床の一因となっており、またパワハラの被害を深くさせ悲惨なものにさせる一因になっていないだろうか?

もちろん、パワハラは契約社員やアルバイトといったいわゆる「非正規」労働者にも発生し得る。
しかし、私は正社員の方が、もしかしたら何倍もパワハラの被害に遭う確率が高いのではないかと思っている。

正社員は何も言えない立場

その理由は、言うまでもないがまずは「正社員の地位を与えているのだから、身も心もすべて会社に捧げよ!」という会社や上司からの圧力である。
こんな、第2次大戦中の軍隊の中でまかり通っていた「滅私奉公」、個人よりも大きなもの(国家など)が優先、という姿勢、あるいは思想が、やはり日本人の文化や心の中では、今だに支配的な力を持っているのではないか、と私は考えている。

現代においてその「お上」は会社であり、上司である。
彼らは、労働基準法よりも強い支配者であり、生殺与奪の権力をふるう専制君主なのである。

こんな文章を読んだら「あなたこそ時代錯誤でイカれた思想を持った妄想者だ」と反発する方もいるに違いない。
「そんなこと誰も考えていないよ、バカ!」と激しく罵りたくなる人もいるかもしれない。

もしそう考えるなら、このページをさっさと閉じて、他のサイトに行って頂いて構わない。

だが、考えてみてほしい。

小さいころから一生懸命勉強して、努力して勝ち取った就職口。
親、親戚、友人からのすべての注目と祝福を受けて勝ち取った正社員の地位。

もしかしたら、もう既に大切な彼氏・彼女がいるか、結婚して子供を持った身になっているかもしれない。
そして、その会社から得られる給料が、私の生活のすべての糧であり、それを失えばせっかくの努力も、世間体も、マイホームも、あるいは家庭も崩壊するかもしれないそういう立場に立っているかもしれない。

そんな中で上司が

お前!たるんでいるのか!
なんだこの実績は!
お前、やる気あるのか?
今日は何が何でもこれを完成させるまで家に帰るな!

と詰めてきたとしよう。
そこで、貴方にできることは何だろうか?

あるいは、分からないことを訊かずにいると「なんで相談しない!」と怒鳴られ、相談したらしたで「こんなこといちいち訊きにくるな!」と怒鳴られ、自分で判断して進めたら進めたで「一人で勝手にやるな!」と怒鳴られるかもしれない。

そのような理不尽な実績追求や叱責に対して、まさか、こんなことを言える立場だろうか?

「お前呼ばわりするな!私はあなたの奴隷ではない!」

「あなたの指導や管理がめちゃくちゃだから、部下にしわ寄せが来てるんだ!バカ!」

「残業代キチンと払ってくれるんでしょうね?それが法律です!」

こんなことを言えば、貴方の将来は真っ暗である。
昇進はおろか、退職勧奨のリストにも入れかねられない。
それは、会社生活においては「死」を意味する。

だから、上司に詰められても、理不尽な追及を受けても言えることはただ一つだ。

はい、わかりました。

申し訳ございません。

今日中に仕上げます!

特に、会社に人生の首根っこをつかまれている人ほど、こういう状況では何一つ言えず、決して抗うことはできないだろう。

本当に大切なことは何ですか?

パワハラを受けて死にたいと思っている人。
あるいは、パワハラを受けて、すでに退職してしまった人。
もしくは、パワハラで深刻な病にかかってしまい、未だに未来が見えない人。

どうか、一度考えてほしい。
自分にとって本当に大切なものは何なのか。

会社の名前ですか?
給与の額ですか?
正社員という地位ですか?
家族や友人への体裁ですか?
それは、貴方の命より大切なものですか?

もし、貴方・貴女がパワハラを受けて悩んでいるなら、どうか逃げずに戦ってほしい。
全部自分のせいなのだ、と抱え込まずに戦ってほしい。

たとえ、自分の能力のなさや性格に問題があると感じていたとしても、それがパワハラを受けてもいい、甘受しなければいけないという理由には決してなり得ない。
それは、いくら事情があろうとも、人を殺せば刑罰を受けなければいけないという刑法の定めと同じである。

何もせずに耐え続けますか?

パワハラは今はまだ明確に法律に規定されていないとしても、れっきとした人権侵害行為なのだ。
平たく言えば、人を馬鹿にし、軽視し、人格を愚弄して侮辱する行為であり、大人社会のいじめでもある。
それは、もっと深くとらえれば、上司の指導管理能力のなさや未熟な人格に一因があり、会社の方針や考え方に問題があるのであり、貴方一個人が100%悪いものではないのである。
これと戦うことは、日本の社会のためでもあり、その会社で働く同僚のためでもあり、貴方の家族や友人のためでもあり、そして貴方自身の尊厳や自信、人生のためでもあるのだ。

私はそんなことに気が付くために、何年もの間死にたいほどの苦しみを味わい、3社連続でパワハラを受けて退職に追い込まれた。
だが、貴方・貴女にはこんな苦しみを味わってほしくない。

もちろん、自分自身の人生の回答は自分で出さなければいけない。
選択とその結果もすべて自分で負わなければならない。

だが、私はこう断言しよう。

パワハラと戦った者だけが得られる知識がある。
パワハラと戦った者だけに見える世界がある。
パワハラと戦った者だけに開ける人生がある。

そう、ぜひ貴方も勇気を持って自分の未来を切り開く一歩を踏み出してほしい。

コメント

  1. ひめ より:

    こんばんは。いつもありがとうございます。ブログの更新、楽しみにしておりました。

    本当に自分にとり、何が一番大事か?
    極限状態になり、私もようやく気づいた次第です。

    生きて行くにはお金は必要ですし、確かに大切なものではありますが、私は自分がこのような境遇に置かれて初めて、社会的な地位や条件よりも命が大切であると気づかされました。

    パワハラに負けないさんのブログに偶然たどり着けなければ、私の現状はもっと良くない方向へ進んでいたでしょう。

    長らく契約社員などの非正規雇用で働いてきた私にとっては、今までのキャリアでやっと掴めた正社員のポジションでした。ですが、それにより、大事な事が見えなくなっていたかもしれません。

    今回のブログを読ませていただき、考えさせられた次第です。
    いつも助けていただきありがとうございます。
    おかげさまで、会社とどのように戦うか、沢山教えていただいています。

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