パワハラ被害者に心の休息は大切

私は以前の「パワハラ被害者には心の休息が必要」の記事でこんなことを書かせていただいた。

「そうやって、半年、1年、2年とゆっくりを時間をかけて、自分を癒してほしい。

そうやって、パワハラの傷が癒えたとき、次の挑戦をしても、人生は決して遅くはない。」

これは、パワハラの被害で身も心もズタズタになった人に向けて、自分の経験をもとにさせて頂いたアドバイスである。

パワハラに傷ついた心で、焦って次の仕事を探しても、悪いことは2度、3度と続くがごとく、次もブラックな会社に入ってしまう可能性があるから、気をつけなさいという意味である。

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ある人を通して再実感

実は最近、これを実感するようなエピソードが私の身近な人に起こったので、紹介させて頂く。

それは、私の勤める会社に昨年秋に入った、ある30代後半のエンジニアの話である。

彼は、入社する前から、優秀な経歴を持つエンジニアが来ると聞かされていたので、きっとすごい人なんだろうなと思っていた。

しかし、彼は入ってみると、いろいろ仕事に慣れず、人の何倍も作業に時間がかかってしまうことがあった。

また、隣の人に良く基本的な質問をするので、うざがられたりするようになっていった。

私はそんな彼を見て、たまにランチに誘ってあげて、いろいろ話をしたりアドバイスをしていたのだが、事態は突然に悪い方向に進み始めた。

なんと、上司から 1 on 1 に呼び出された席でこう言われたのである。

「なんか A さんは、仕事が遅いね。

あと、B さん、C さんの仕事の邪魔になるから、あまり彼らに質問とかしないでくれる?」

彼は、この面談でかなりショックを受けたようで、すっかりモチベーションが下がってしまったようだった。

そして、私に相談する前に、次の日に上司にこう言ってしまったのである。

「会社辞めます。」

上司は焦って引き止めたそうだが、彼はもうぜんぜんモチベーションが湧かず、慰労を断ったという。

そして、なんと試用期間を全うせず、わずか2ヶ月で辞めてしまった。

私は

「40近い年齢になるのに、こんなやり方で生きていけるのだろうか」

と思ったが、彼にそんな口うるさいアドバイスをする立場にもないので、

「まあ、次はいい会社が見つかるといいね」

くらいの話をしてあげただけだった。

2度目の悲劇

だが、彼の悲劇はここで終わらなかった。

次に面接を受けた会社は、面接官がすごく親切で

「入ったら何でも聞いて、全力でサポートするから」

という甘い言葉をかけてきたのが彼の傷ついた心に響いたのか、すぐにその会社に入ることを決めた。

私は

「ちょっと冷静にいろいろ比べてから決めたほうがいいよ」

とLINEでアドバイスしたが、彼はまったく聞こうとはしなかった。

彼はそこに入社したが、なんと半月後に彼に様子を聞いたら、驚きの返事が返ってきた。

「もう、そこは辞める。全然サポートなんかしてくれない。放ったらかしで、実績ばかり求められる。つらい」

そして、彼はそのまま辞めてしまった。

なんと、2週間で彼はまた会社を辞めてしまったのである。

高待遇の仕事を紹介したが…

私は、すぐに昔の同僚に電話をかけ、彼の会社で採用してくれないか、掛け合った。

彼はそこで取締役をしており、私よりはるかに出世している人間である。

すると、私の熱心なアピールが響いたのか、そこの会社で年収XXX万円出すから、ぜひ来てくれという熱烈なオファーが来たのである。

(彼は初めの口頭での提示年収に対し「安い」と反論したため、さらに60万円も上乗せして正式な提示があったのである。)

それは、私からしても羨ましいほどの年収であった。

ところが、彼にその話をすると、昨日までは「ぜひお願いします」という態度だったのに、今日は急に気が変わったのか、

「やはり、考え直します。

ちょっと休んで人生考えます。」

というつれない返事しかしなかった。

まさかのドタキャンで、私の面目は丸つぶれであった。

コロナが襲ってきた

そしたら、そこに天災が襲ってきた。

そう、コロナウイルス禍である。

そのせいで彼は、次に面接する予定だった会社からキャンセル通知が来たという。

そして、彼は今も次の会社が見つからずにいる。

そう、彼は最初1ヶ月休むつもりだったのに、結局3ヶ月経っても会社が決まらず、失業状態である。

そして、次の会社の面接予定も、まだ決まっていない。

彼の要求年収に合う会社は、経済が打撃を受けている今においては、難しいのではないかと思っている。

なぜ、私が苦労して見つけたポジションを、そんな簡単に投げ捨ててしまったのかと、私は今も思っている。

多分、その時の提示年収より100万円、200万円下げないと彼が欲するポジションは得られないのではないかと思う。

もうすぐ40歳なのに、いろいろ選り好みして、入ってはすぐ辞めるを繰り返すと、こんな感じになるのだということを改めて感じた瞬間だった。

心の休息を取って、冷静な仕事探しが大切

これは、私が経験したパワハラ退職とは少し違うかもしれないが、ただ、焦って次の仕事を探し、甘い面接の言葉で入ったがすぐに現実の冷たい対応で心がやられて退職するという点では、まったく同じである。

結局、私がこの記事で言いたいのは、焦った気持ちで次の会社探しをするのは本当に良くないということである。

それよりは、パワハラやブラック企業で受けた傷を癒やすためにゆっくり休んで、落ち着いて来た頃に、冷静な心で次の仕事を探すなり、資格を取るために学校を探すなりした方が良いということである。

ぜひ、この記事を読んでくれるみなさんの人生が、幸せに満たされることを祈りながら、筆を置かせて頂く。

コメント

  1. ばろんたん より:

    大変参考になります。私も今退職強要を受けている真最中です
    別件のセクハラで10年以上前に輸入音に加入した事がありますが、
    やはりその頃は労働者を守ってもらえる時代ではなかった為、
    泣き寝入りに終わりました
    今思い出しても悔しく、負けた自分の事が嫌になってしまいます

    今回は潰されて諦めたくないと言う強い気持ちです

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