社長への告発メール – 第3の復讐

退職届を出してから最終出社日まで、耐えに耐えた約25日間。

私の元部下の中には、私が係長という役職を外され、毎朝パワハラ上司から激しく説教される様子を見て、態度を変えた者もいた。
あからさまに、チームリーダーの私の命令に反抗するのである。

「いや、そのやり方は違うと思います。
俺は、このやり方でやります」

こうやって、皆の前で堂々と私の命令に背き、恥ずかしめを与えてきた。

「このヤロウ…」

そう思ったが、我慢するしかなかった。
まるで、力の強い者にハイエナのように恭順を示す、小学生の頃の某クラスメートを見ているような感じだった。

だが、他の元部下達は、皆、降格させられたチームリーダーの私の命令にも、以前と変わらない態度で従ってくれた。
こういう時は、権威ではなく、人徳や経験・知識に敬意を示し、純粋にそれだけのために従ってくれているのを感じた。

単なる怒鳴り散らしパワハラ上司だったら、単なるヒラに落ちた途端、皆、そっぽを向くことだろう。
人間が本当に頭を垂れて従う相手は、力や権威を振りかざす者ではなく、自分のためを思って言ってくれていると感じさせる人格性を持った人間なのである。

そうやって長い日数を耐えに耐えた結果、とうとう、最後の日がやってきた。

私は、パワハラ上司のいじめの告発をするメールを準備していた。
そのメールには、内容証明郵便の全文を添付していた。

「社長をTO、全社員をCCに入れて送ってやる…」

後は、いつ送るかのタイミングだけだった。
午後1時、午後2時、時間は過ぎて行ったが、まだ送る勇気はなかった。

そして、午後4時、退社の1時間前、とうとう私は送る決意を固めた。

「よし、今だ」

だが、私の心は、その日一日揺れ続けていた。
全社員をCCに入れるべきか、入れざるべきかと。

全社員に送りつけるのは痛快ではあったが、かえって自分の立場を不利にしないだろうかという一抹の不安があった。
パワハラの被害者という立場から、単なる攻撃者、異常者に成り下がってしまわないだろうかという心配があった。

OutlookのCC欄に、全社員宛のエーリアスメールアドレスをタイピングしては、それを消す、ということを何度も繰り返した。
だが、最後の瞬間に断念した。

「やはり、全社員に送るのはやめておこう」

その代わり、BCCで自分を応援してくれた同僚達に送ることにした。
もちろん、私に反抗を示してきたあの元部下、パワハラ課長に媚びへつらう隣のチームの某リーダーは、BCCの対象から外れていた。

結局のところ、15人ほどのその部署において、私に有利な話をしてくれた人、私の味方になってくれた人は、11人にも上っていた。
その人たちを全員BCCに入れた。

そうして、私は少し震える手で、メールの送信ボタンを押した。

(続く)

コメント

  1. きっと明日は晴れ より:

    1. 人の本性
    こちらがピンチの時に

    助けてくれるか、
    追い落としにかかるか

    周りの人間の本性が見える瞬間ですよね。
    そしてその状況で助けてくれる人は
    本当にありがたい存在ですよね。
    http://ameblo.jp/sasaeaitai365/

  2. パワハラに負けない より:

    2. Re:人の本性
    >きっと明日は晴れさん
    こういう状況で助けてくれる人の存在はとてもありがたいです。
    ちなみに、私に反抗を始めた元部下は、私の退職後に、パワハラ上司の次のターゲットになったという話を聞きました。
    怖いです。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  3. 雷電 より:

    3. こんばんは
    こんばんは、読者登録ありがとうございます。

    こちらのブログですが、自分のブログの参考になると思いお気に入り登録させていただきます。

    よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
    http://ameblo.jp/aaa-7waz/

  4. パワハラに負けない より:

    4. Re:こんばんは
    >雷電さん
    こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

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