会社に行きたくても行けない

しばらく私のパワハラの体験談が続きます。
パワハラに悩まれている方、パワハラに勝つためには、パワハラの実態を知らなければなりません。
パワハラが牙を剥くとどうなるか、その極限の姿を知ってこそ、それに対して備え、それを乗り越える力が生まれてきます。
どんなに大変な状況に陥っても、決して人生までを諦めないでください。
生きていれば、必ずいつか道は開けるはずです。

——

その会議室でのミーティングはたかだか15分ほどだったと思う。
だが、そこで隣のチームのリーダーから受けた批判は、
私の心を恐怖に突き落とした。

私はその日、もう仕事が手に付かなかった。
明日は確実にあの課長に怒鳴られる…
その恐怖でもういてもたってもいられなかった。

その日の仕事を瀕死の思いで終えると、私は早々に退社した。
そして、帰りの電車の中で、どうすればいいのだろうと考え続けた。
でも、答えはなかった。

次の日の朝、私は重たい自分の体を布団から引きずり出すと、食事を取った。
その食事は、まるで砂を噛むかのように、味がしなかった。
そして、ネクタイを締め、いざ出社するために、玄関に向かった。

その時である。
私は、自分でも予期せずに、目に涙があふれてくるのを感じた。
熱い涙が、次から次へと湧き出してくる。

私は玄関に座り込んで、下を向いて動けなかった。
妻が「どうしたの?」と声をかけてきた。
私は黙りこくっていた。

「じ、じつは、俺…」

「えっ?何?」

「じ、じつは…、会社に行きたくない」

ようやく絞り出すように出した言葉がそれであった。
自分でも、自分自身が言っている言葉が信じられなかった。

まさか、自分が会社に行きたくないなんて、言うなんて…

それは、私が会社人生を15年やってきて初めてできた言葉であった。
今まで、どんなに辛くても、風邪を引いても、熱が出ても
会社に通ってきた。

でも、まさか、今日、自分が、風邪を引いているわけでもなく、
熱が出ているわけでもないのに、会社に行かないと自ら発言しているのだ。
人生で初めての暗闇に突っ込んでしまったのではないか、そんな
そら恐ろしい気分すらしていた。

(続く)

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