会社からの追放

退職届を出してから、最終出社日までは、地獄の日々だった。
自席の背後からの監視、叱責、嘲笑…
もう、会社には行けないという位に私の精神は追い詰められていた。
もうだめだ…
そう思った日の夜、私は最後のメールを社長に送った。
「社長、人事部長が常に背後から監視し、叱責され、嘲笑されるのは、大変苦痛です。

このままでは、出社ができなくなりそうです。

どうか、改善をお願い致します。」
次の日、私は恐る恐る出社した。
社長はいつもの通り、午前11時頃に出社してきた。
社長は私の顔を見るなり、怒気をあらわにして低い声で言い放った。
「おい、お前、ちょっと社長室に来い!」
そこには社長と人事部長が怖い顔をして待ち構えていた。
その女性の人事部長は、ヒステリックな声でこう叫んだ。
「ちょっと、あんたね、言いがかりもいい加減にしてよ。

私がいつあんたをバカにしたって言うのよ。

ふざけないでよね!」
社長も続けてこう言った。
「お前みたいな奴はもうこの会社に置いておけん。

お前は会社を破壊する危険極まりない奴だ。

こんな事実無根のことを平気で社長に書いて送りつけるような奴だからな。

お前みたいな精神異常者は、もう置いておけん!

すぐさま私物を片付けて帰れ!」
私は、心臓が張り裂けんばかりに波打つのを感じていた。
多分、私も声を荒げて最後の必死の反撃を試みたと思う。
だが、彼らは完全に私を悪と決めつけるような態度を変えなかった。
私は失意の中で、最後の勇気を振り絞ってこう確認した。
「それは自宅待機という扱いになるのでしょうか?
給料は出るのでしょうか?」
社長は「ああ、そうだ」と答えた。
私はさらに食い下がった。
「今までの土日出勤の手当てや残業代は払われないんでしょうか?」
社長は急に声のトーンを上げるとこう答えた。
「何だとお前!
残業代が欲しいっていうのか?」
「はい。
就業規則には、時間外労働について手当てを支払うと書いてあります。」
社長は完全に激怒の表情を浮かべてこう言った。
「お前みたいに、就業規則を持ち出してきた奴は初めてだ。
お前はやっぱり尋常な人間じゃないな!」
私はすかさずこう反論した。
「就業規則を読むのは、労働者として当然のことだと思います。
それを異常呼ばわりされるのは、納得できません。」
社長は少しひるんだようだったが、すぐさまこう切り返してきた。
「分かった、残業代を払ってやる!
その代わり、1分でも遅刻した日は、半日分の給料を引かせてもらう。
入社日まで遡ってな!
いいな!」
私はすぐにこう反論した。
「そんなこと、就業規則に書いてないですよね。

それに、みんな9時ぴったりには出社してないですよね。

私だけ減給ですか?」
社長はやや勝ち誇ったような表情を浮かべてこう言った。
「就業規則は変わったんだ。

お前には、減給規定を厳格に適用させてもらう。

いいな!」
私はそれ以上何かを言う気力はなかった。
完全に呆然自失となって社長室を出た。
人事部長がすぐ横で見張る中で、私は全ての荷物を袋にまとめ、パソコンのパスワード等も全て解除させられ、すぐさま会社から追い出された。
社長室に呼び出されてからわずか10分ほどの追放劇であった。
バタン!
人事部長によって閉められたその正面玄関を背に、私はとぼとぼと、最寄りの地下鉄駅に向かって歩き出した。
まだ心臓が怒りと不安でドクドクと激しい鼓動をしていた。
「ああ、とうとう追い出された…」
その後、私はどこをどうふらつき回ったか覚えていない。
大都会東京を彷徨い歩いたあと、自宅に辿りついたのは、夜もすっかりふけた頃だとしか覚えていない。
(続く)

コメント

  1. miyabi27 より:

    1. 無題
    そのやり取りは録音されてなかったのでしょうか?。・°°・(>_<)・°°・。
    http://ameblo.jp/miyabi27xmas/

  2. うらら より:

    2. !!
    出勤した時間と退出した時間の分かるものを、コピーなどしてらっしゃいますか?
    もうロウキに訴えてやればいいんですよ!
    ハロワで訴えてもいいし。

    でも、まずはお疲れさまでした。
    大変でしたね。
    あなたは、よくがんばったと思いますよ。
    とりあえずは、家でゆっくり休んでください。
    http://ameblo.jp/flyingbelinda/

  3. 一言芳恩 より:

    3. おはようございます
    酷い会社ですね
    労働基準局に訴えた方がいいですよ
    次の仕事が良い会社でありますように
    http://ameblo.jp/itymohoumonarigatougozai/

  4. より:

    4. 無題
    あなたにも問題がありますよ。
    パワハラはもちろん許してはならないことですが、
    せっかく録音したのにそれを活用しない意味がわかりません。それでつらいつらい被害者だって言ってもね…

  5. りこ より:

    5. 酷い状況ですね
    拝見しました。こんな状況が退職前に待っていたとは。ブログでこうして綴ることさえもお辛いことではないかと心配になります。お互い傷が癒されるといいですね。

    私は4月から新天地に行くことになりました。辞めたくて辞めるわけではない。何で相手がのうのうと仕事ができるのだろうと、怒りで一杯になった今週でした。
    自分を守るために、これ以上壊れないために新しい道を歩もうと言い聞かせました。

  6. パワハラに負けない より:

    6. Re:無題
    >miyabi27さん
    録音はしていました。録音テープがその後どうなったかは、また、別の記事で書きたいと思います。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  7. パワハラに負けない より:

    7. Re:おはようございます
    >一言芳恩さん
    サービス残業などは労基署に証拠と共に駆け込めば、取り返すことは可能ですね。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  8. パワハラに負けない より:

    8. Re:酷い状況ですね
    >りこさん
    新しい職場に移られるのですね。とても良かったです。
    パワハラ会社への復讐は、新しい職場に慣れてからでも遅くはありません。パワハラや労基法違反の証拠はしっかり確保した上で、退職しましょうね。
    憎い会社だと思いますが、必ず復讐する機会は訪れるはずですから、負けずに頑張りましょう。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  9. パワハラに負けない より:

    9. Re:無題
    >あさん
    コメントありがとうございます。
    録音テープはありますが、結論から言うと、その後、2年半反撃の機会を狙いましたが、結局断念しました。
    費用、労力、勝訴の見込み、得られる賠償額の見込み… それらをすべて勘案しての結論、決断でした。
    それはとてもつらい決断でしたが、決して失ったものばかりではありませんでした。
    私がこのパワハラ会社で得た知恵と体験と教訓は、このブログで今後、余すところなく綴っていきたいと思います。
    パワハラで人生を破壊されてしまう人が一人でも少なくなることを願いながら。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  10. もかちょこ より:

    10. はじめまして
    はじめまして
    私の場合はパートだったのですが、パートの1番上の人からのパワハラにもう耐えきれず、退職しました・・。
    凄く悔しくて今は自問自答ばかりです。
    「私は望んで辞めたわけではないのに、なぜ彼女は何事もなかったかのようにできるの」と。
    考えれば考えるほどくやしくてたまりません。
    で、同じ悩みお持つ方のブログはないかと、こちらにたどり着かせていただきました。

    悔しいですね・・。

  11. パワハラに負けない より:

    11. Re:はじめまして
    >もかちょこさん
    コメントありがとうございます。
    その悔しさ、本当によくわかります。
    パワハラの被害者は退職に追い込まれ、加害者は何のお咎めもなくのうのうととどまり続け、第二、第三の被害者を生み出し続けている。
    だから私は、そういうパワハラ上司やパワハラ会社に復讐をすべきだと思っています。
    パワハラを行う会社は労務管理がいい加減で、サービス残業もやりたい放題のところが多いです。
    勤怠表を元に会社に残業代の支払いと、パワハラへの謝罪を上司の実名入りで迫るのです。
    パワハラの謝罪は実現しなくても、その上司は確実に社内評価が下がるでしょう。
    残業代も100万円単位で貰える可能性もあります。
    このように具体的なアクションを起こす以外に、悔しさと恨みを完全に解消する道はありません。
    どうか頑張りましょう。
    負けずに頑張りましょう。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  12. より:

    12. 夫が…
    ブログを読ませて頂いて、どうしても管理任さまに聞いて頂きたくコメントさせて頂きました。

    入社当時から社長のパワハラにあっています。
    今年で入社約3年目で、その前に夫が勤めていた会社は倒産し、今の会社に入るまでに半年以上かかりました。
    住宅ローンプラス小学生の子どもがいます。

    数日前、つもりにつもった社長のパワハラに耐えられず、夫が会社を辞めまいと言いました。

    私は、わかった、でも次の仕事の目処がたってからでもいいんじゃない?と言ったのですが、もう会社に行きたくないと言ってきいてくれません。

    夫が辛いのはわかりますが、このままだと生活出来ないです。
    どうしたらいいでしょうか?

  13. パワハラに負けない より:

    13. Re:夫が…
    >葵さん
    パワハラによるストレスが蓄積してしきい値を越えて、出社拒否状況に陥ってしまったのですね。

    まず絶対に言えることは、焦って退職を口にしたり、退職届を出してはいけません。
    衝動的にやりがちなことですが、これは最大限踏みとどまりましょう。

    辞める場合は、全ての証拠を集め、最大限取れるものは全て取って、有利な条件で辞めることです。
    そうでなければ、永久にトラウマとなります。

    まずはインターネットユニオンを探して、無料の労働相談窓口に電話することをお勧めします。
    そこで全て話して、冷静な立場から、作戦を練りましょう。
    そして、職場に踏みとどまるなら、労働組合の力を使って、団体交渉をして改善を求めましょう。
    会社はこういう実力行使で、手のひらを返したように態度を改めることがあります。
    基本的に会社は個人が相手だと相当になめてかかりますので。

    このように交渉を続けながら、最大限有利な条件を勝ち取り、裏では、転職活動をしたらいいと思います。
    泣き寝入りのただ辞めは、絶対に永久のトラウマになりますので、ここは最後の気力を振り絞って、会社と戦いましょう。

    診療内科や精神科かから診断書を書いてもらいましょう。
    タイムカードや就業規則、賃金規定などの証拠もすべて確保してください。
    無断欠勤はせず、メールで病欠と毎日送って、表明上は病気としておくことを忘れないようにしましょう。
    こういう細かい点を突いてくるのが会社の汚いところですから。

    ぜひ頑張ってください!
    サービス残業代も全部勝ち取ってください。
    応援しています。

    もし困ったことがあれば、メッセージ等で連絡くださいね。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

  14. akatuki2730 より:

    14. 昨晩は大変失礼致しましたm(_ _)m
    捨てハンにきちんとお応えになっているのが、凄いなぁ~と思います。
    私はスルーします。
    そもそも文句や注文を、人様のブログへ書き込む行為に、疑問を感じます。
    通り過がりの心ない言葉に、イライラしてしまいます。
    あくまでも、提案、助言…そう云う姿勢で物申す可きかと思います。
    だって、オマエにナニがわかんの?…って思うからです。

    昨日は本当にごめんなさいm(_ _)m
    http://ameblo.jp/akatuki2730/

  15. パワハラに負けない より:

    15. Re:昨晩は大変失礼致しましたm(_ _)m
    >akatuki2730さん
    コメントは気に障ったりはしていませんよ (^_^)
    私も社会的正義を実現するなどと偉そうなことを言ってしまってごめんなさい。
    パワハラって、生活の糧を得るための職場で起きることだから、とても深刻で苦しいものなので、戦うのは本当に大変なことと思います。
    私も相当に死にたいほど悩みに悩みました。
    何年間も暗い闇の中にいて、最後は、カミングアウトしてでも、訴訟の場で争おうとまで決意するようになりました。
    私は自分の体験を語ることしかできませんが、自分の経験が、少しでも、パワハラに苦しんでいる人に勇気を与える材料になってくれたらと思います。
    これからもよろしくお願いいたします。
    http://ameblo.jp/anti-pawahara/

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